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あなたのすきなもの
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ルームシェアようりこ話です。
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高校を卒業した私は、都内の大学に進学した。もともとそんなに場所にはこだわっていなくて、高飛び込みに本格的に取り組むにあたって、より優れた環境で指導を受けようと思っていた私に声がかかったのが、たまたま都内の大学だった、っていうだけだ。
旅行とか遠征で東京に来る機会は何度かあったけど、いざ住むってなると、内浦の海を見て育ってきた私にとっては不安があるのは確かで。両親も私が都内で一人暮らしをすることに心配はすごくしていたみたい。
そんなこんなで合格通知が出てから少し経った頃に、리코쨩も、大学こそ私とは違うけれど、同じく都内の音楽大学に進学することを知った。
二人きりになったときの帰り道で、同じ都内だったら気軽に会えるね、なんて話をしてたら、ふと리코쨩が、요우쨩はどこに住むの?って聞いてきて。まだ決まってないんだって言うと、そっか、って一旦会話が途切れたんだけど。리코쨩が降りるバス停に差し掛かったところで。
「…あのね。もしよかったら、なんだけど。」
大学の距離もそう遠くないし。
よかったら、ルームシェアしない?
そんな彼女の一言から始まった生活。
お互いの両親は、お互いがいるなら安心だね、ってことでトントン拍子でルームシェアが決定して、中間地点のマンションに住むことになった。プライバシーもあるからと借りた一室はそれぞれの部屋を確保しつつ、共有スペースにあたるリビングは一人暮らしでは持てなかったであろう、少し広めの空間だ。
私はというと、もちろん리코쨩と時間を共有できることは嬉しかったし楽しみだったけど、ちょっとだけ、落ち着きがなかったなと今振り返って思う。
なぜなら私は、桜内리코쨩のことがずっと好きだったから。
それでも、好きな気持ちを隠しながらの生活はそんなに難しくはないと思っていた。だって、それで高校生活を乗り切られたわけだし。
だけど、時間の密度は全然違っていた。なんたって、生活の一部っていうレベルじゃなくて、ほとんどが리코쨩で占められている。朝はおはようから夜はおやすみまで。もちろんバイトとかそれぞれの交友関係もあるので毎日というわけではないけど、生活を共有しているのには変わりないから、本当に、日常の半分以上は리코쨩で占められている気がした。
中でも、二人での生活を始めるにあたって取り決めたルールのうちの料理当番が、彼女との時間の密さを感じさせた。
お互いのバイトとかの都合で多少は流動的だけど、早く帰れる方がご飯を作る、料理当番。決まり事と言うほど堅いものでは無くて、節約できるのでならってことでなるべく自炊するように心掛けた。料理を作るだけで、相手の帰りを待って一緒に食べる、っていうことは約束していなかったけど。自然と待つというか、少なくとも私は、二人でご飯食べながら他愛ない話をするのがとても好きだったから。だから喜んで、都合の合うときは料理当番を引き受けたし、리코쨩の帰りを待った。
一緒にご飯を食べる時間は言わずもがなだけど、料理を作るにはまず相手が喜んでくれる献立を考えるわけで。つまり当番の日はずっと、私は리코쨩のことを考えているのです。
そうした中で、私たちは一つだけルールを決めた。
それは、都合が悪くて夕飯が一緒に食べることができなそうな時は、必ず相手に連絡を入れることだ。
初めの方はよかった。
未成年ってこともあってお酒の席に呼ばれることもなかったし。でも、成人してからそういう機会が増えてきて、리코쨩から、一緒にご飯食べることができないという連絡が来ることが多くなって。
そうして時々、二人分のご飯を作り終わった頃に、夕飯はいらないって連絡が来るようになってきた。
付き合いがあるのは仕方ないことは充分わかっている。私だって、部活の人たちとご飯に行くことはあるし。それに、ただの友達の、ただのルームメイトである私に、리코쨩がそういった席に行くことを止める資格なんてないから。なんて、一人で勝手に落ち込むことが増えていく。でも、それは仕方がないんだ、という先に進めない無限ループに囚われている自身に慣れるしかないんだと、言い聞かせた。
だけど、作った二人分の、余った一人分のお皿にサランラップをかけて冷蔵庫に仕舞うのが当たり前になりつつあるのが、やっぱり苦しくて。
せめてこの一連の動作をしなくて済むようになるといいな、と思って、리코쨩に注意したのが、間違いだったのかもしれない。
「리코쨩、最近飲み会多くない?」
それは、月曜日の夜のことだった。
今日も余った一人分の料理を冷蔵庫に仕舞った。いい加減心の苦しさに耐えきれなくなった私は、遅くに帰ってきた리코쨩にそう言った。
うーん、そうかも、と、いつも通り二人でご飯を食べれなくなったことを謝ったあと、리코쨩は事も無げに返事してきた。らしくないな、と思った。思い返すと、리코쨩は少し疲れているようだった。でもそんな彼女の様子に気付けるほどその時の私には余裕がなくて。리코쨩のそんな態度少しだけ腹を立ててしまって、つい、きつい口調で彼女に告げてしまった。
「別にいいんだけど、連絡はしてほしいかな」
「…ごめん」
自分でも少し驚くくらい声が低くなってしまって、でも、こんな現状を寂しく思ってつらさを感じているのが自分だけなんだと思った瞬間に、胸に痛みが生じると共に行き場の無い黒い気持ちが湧いてきてしまって。
行かないでほしい、と言いたくなる気持ちを抑えて代わりにするりと出てきた言葉たちが、どうも彼女の琴線に触れてしまったようだった。
「あと体を壊すような飲み方を、」
「…なに、お説教?」
리코쨩らしくない、強い語調。
思わず怯んだところで畳み掛けるように、私の大好きな声で。
「え?いや、そんなつもりは」
「そうじゃん」
「でも…心配だから」
「心配されなくても大丈夫だから」
「梨子ちゃ、」
「だから!私が何をしようと私の勝手でしょ!」
だって。
「요우쨩には関係ない!!」
なにも、いえなかった。だってその通りだし。
私と리코쨩は友達で、ただのルームメイトで。彼女が、彼女の生活をどう過ごそうと、友達ではあるけれど、結局私たちはただの他人同士で。
止める権利なんか、ないのだから。
*
言ったあと、目の前の요우쨩の表情を見て、サァァ、っと、通り雨のごとく瞬時に昇っていた熱が冷めていくのが分かった。あ、っと、気付いたときにはもはや手遅れで。
驚いて目を見開いた요우쨩は、それでもすぐに表情を戻して。そうだよね、ごめん、って呟いたあと、少し躊躇ってから、細い声で私に言った。
「…もう料理当番もやめよっか、お互いに忙しくなってきたし、連絡するのも面倒でしょ?」
怒っている様子はまるでなくて、困ったように笑いながら。でも私はこの笑顔の意味を知ってしまっていて、いわゆるその、当たり障りのない、"その他大勢"に向けるものだったから。
慌てて謝ろうと요우쨩に手を伸ばしたけれどタイミング悪く彼女はくるりと私に背を向け、じゃあ私、朝早いからお風呂入って寝ちゃうね、って浴室に消えてしまった。
伸ばした手は、虚しく空に浮いたまま。
短絡的で、軽率な発言だった。
ぎゅっと拳を握り込んで、手のひらに痛みを感じたところで力を緩める。
完全に、八つ当たりだった。
ピアニストの道を進みたいと強く願うようになった私は最近、その道の人たちと食事会という名目で、繋がりを作るように努めていた。目指している私が言うのも変な話だけれど、芸術家というものは変わった人が多くて、今日会った人はそれはもう癖が強くて我も強い高圧的な態度で。なんていうか、今日はうまく逸らすことができなくて。
はぁ、と一つため息。
一緒に住むようになって、喧嘩一つすることもなく過ごしてきた私たち。我慢強い요우쨩が今回この事を切り出してきたのは、それだけ彼女を追い詰めていたというか、気分を害してたんだな、と今更ながら分かった。
そもそも連絡を怠っていたのは自分だし、逆ギレだなんて自分勝手にも程がある。
すぐにでも謝りたいと思い、요우쨩かお風呂から上がってくるのを待ってたけど、本当に迂闊なことにここ数日課題で徹夜続きだったのが災いして気付いたらソファーで眠ってしまっていた。ゆるりと瞼を開けると眩しくないようにリビングの照明は温かいオレンジ色に落とされていて、肩には彼女が掛けてくれたらしい毛布。
ぬくぬくと感じる毛布の柔らかさと요우쨩の温かな優しさに涙がじわりと浮かんできて、立ち上がって요우쨩の部屋をノックしてみたけど当然返事はなく。
呆然と立ち尽くす入り口からリビングの光が漏れ入って、真っ暗な요우쨩の部屋を僅かに照らす。決して広くないベッドの端っこにさらに小さく丸まって寝ている요우쨩の輪郭が分かって、諦めて自分のベッドに潜り込んだ後もその姿が頭から離れなかった。
翌朝こそ、と思っていつも요우쨩が起きる時間より少し早めに目覚ましをセットした午前六時。起きると요우쨩の姿はなくて、またしても私はやらかしてしまったと、ひどく後悔した。
そうして少しずつ、요우쨩と接点が減っていった。
요우쨩は朝早く家を出て、私が帰る頃には既に寝ている。この間の私の一方的な喧嘩からはもちろん夕飯は用意されていなくて、そのせいか、요우쨩が私の帰りを待って起きていることは無くなり、おかえり、と言われる事もない。
こうしたすれ違いの中でも最初は彼女からラインで、ごめんね、今日は早く出るね、とか、先に寝てるね、って連絡が入っていたんだけど、徐々にそれも減っていき。
今ではもう、何もない。
何もなかった。
自分勝手だって分かってても、寂しいって思った。
そしてそう思ったときに必ず、あの日の夜、小さく丸まって寝ていた요우쨩の姿を思い出してしまって、苦しくて堪らなかった。
週末になればこのすれ違い生活は一旦落ち着くと思ったけれど、生憎壁にかけられたカレンダーには요우쨩の字で金土日で、遠征、と書かれていた。
でも、これ以上長引かせてはいけないと思った。だってこの間、燃えるゴミの日にゴミを捨てに行った時。今までよりもゴミ袋がうんと軽くて、もしかしたら요우쨩は自分の分もご飯を作らなくなったんじゃないかな、って思ってしまって。
ルームシェア始めた頃に楽しそうに料理をする요우쨩の様子を思い出し、心がまた切なくなった。
もうこれ以上、自分の気持ちにも嘘吐けなくなって、意を決してラインで요우쨩に、日曜日、もし時間が合えばお家でご飯食べませんか、と送った。
既読が付いてしばらく待つ。優しい彼女のことだから、既読無視することはないだろうと分かっていても、返事が来るまで手が震えた。
うん、分かった、楽しみにしてるね、といつものあの調子で返ってきて一安心する。
さて、何を作ろうかな。
私は、渡辺요우쨩のことが好きだった。
卒業間際にルームシェアの話を持ちかけたのも、半分以上は요우쨩と一緒に居たかったからだ。
住み始めたキラキラ輝いていたあの日々は確かに胸の中にあって、本当に楽しくて。一緒にいる時間、特に二人で食卓を囲んでその日あったこととか、他愛ないことを話す時間がとても好きだった。
取り戻したいと思うのに、自分の軽率な発言と短絡的な思考でこんなことになってしまって。
言い訳をさせてもらえるなら、入学して二年経って、요우쨩との日々が本当にかけがえのない手放したくないものに変わっていって、私は必死に、私と彼女を繋ぎ止めるものを探していた。
それが、私が進もうとしているピアニストとしての人脈作りだった。
自立に向けて色んな人と会い、音楽で生活できるように、そうして、揺るぎない自信を作った上で요우쨩に、卒業後もできるならば一緒にと、想いを告げたかった。
早計だった。
苛立ちが募った矛先を요우쨩に向けてしまった自分の愚かさが憎かった。
あの日ベッドの上で丸まった背中を抱きしめたいと思ったけど、そもそもの原因である私にそんな資格はないから。
そんなことは、できなかった。
日曜日。
요우쨩から何時頃に帰れそうだよ、という連絡を受けて、買い出しを済ませて台所に立つ夕方。
献立はもちろん彼女の大好きなハンバーグ。じゅわっと両面じっくり焼いて、肉汁が漏れないようにそっと。付け合わせのきのこのソテーに油を和らげるグリーンサラダ。ソースはあっさりと和おろし。
出来上がったところでタイミング良く玄関からガチャガチャ聞こえてきた。慌ててエプロンしたまま玄関まで迎えにいき、廊下の電気をつけると少しだけ疲れた顔をした요우쨩が居た。
おかえり、となるべく自然に微笑みかけながら요우쨩に言う。
少し驚いたように目を見開いたあと、すぐにただいま、と返してくれたけど、ぎこちなさはやっぱり抜けていなかった。
合宿から持って帰ってきた荷物を持とうと手を差し伸べたけど、大丈夫だよと静止されて手持ち無沙汰になる右手。彼女の手を取ることはもちろんできるはずも無く、あの時と同じように空を切った右手を握りしめた。
歯車のズレを気にしないように、手洗いうがいをしたらご飯を食べましょう、と前を歩く彼女の背中に声を掛けると、はーい、と良い子のお返事が返ってくる。あぁ、最初の頃はこんなふうに、穏やかだったのにな、なんて、今はお互いに緊張はあるけれど。
そうして戻ってきた요우쨩と、いただきまーす。
리코쨩のハンバーグ久しぶりだなぁ、嬉しいなぁ、って喜んでくれて、つられて私も笑顔になる。
他愛ない話をして、요우쨩も私と同じように、この時間をとても大切に思ってくれていたのかな、って心が痛みを感じ始めたところで、本題を切り出そうとしたら。
鼻の啜る音が部屋に響く。
向かい側の요우쨩が、泣いていた。
「…리코쨩、今までありがとう。最後に리코쨩のご飯が食べられて、凄く幸せだよ」
穏やかな空気が一気に凍る。
え、ちょっと。最後って、なに。
「待って、요우쨩…どういうこと?」
箸を置いてパーカーの袖で涙を拭う요우쨩の嗚咽が耳に残る。思考を一生懸命巡らせるけど、彼女が私に告げた言葉たちと結論がどうしても結びつかなくて、わけがわからなくて、話を聞き出すべくなるべくやわらかく彼女の名前を呼ぶ。
ようちゃん。ようちゃん?
少し時間を置いたところで落ち着いて酸素を吸えるようになったのか、요우쨩はぽろぽろと言葉を重ねてくれた。
ルームシェア、解消したいんでしょ?
だからさいごに、わたしのすきなごはん、つくってくれたんでしょ?
りこちゃん、ありがとう。すごく、たのしかったよ。
あぁ、そんな。そんなにも私は。
過去形にされるのが嫌だった。堪らず立ち上がってテーブルを回り込み、少しだけ屈んで座ったままの彼女の震える肩を抱きしめた。
「ようちゃん、違うの。ちゃんと、お話させて」
小さな子供をあやすように優しく、何度も頭を撫でた。腕の中でこくりと頷いた요우쨩の手を取り、ソファーまで連れて行って隣同士で座る。初めは握り返す様子がなかった指先に少しずつ力が入っていき、安堵した。
「ようちゃん。ようちゃん」
子守唄を歌うかのように優しく、ふわふわと彼女の名前を何度も呼ぶ。すると요우쨩も、何度目かで返事を返してくれるようになって、名前を呼ぶたびに、んっ、んっ、こくりと小さく頷いてくれた。
その様子が可愛くて、思わずぎゅっと頭を抱きよせる。
「ようちゃん、…ごめんね。こんなに追い詰めて、あの時酷いことを言ってほんとうにごめん」
すると요우쨩は空いた手で私の服を握ってきて。そのまま顔を上げずに、んんっ、って首をぐりぐり横に振ってきた。許してくれるのかな、って一瞬思ったけど。
もう一つ요우쨩に、謝らなきゃいけないことがあるから。
「…あと、もう一つ、ごめん」
声から緊張が伝わったのか、ぴくりと反応した요우쨩は体を離して、私を見つめてきた。アクアブルーに溜まった涙がきらりと光る。きっと、これを伝えてしまったら、私たちは。
それでも、誤魔化すのはもうやめた。
「私ね、요우쨩のことが好きなの。大好きなの。요우쨩とずっと一緒に居られたら、って、少し…ううん、凄く空回りしてたみたい」
ぱち、ぱち、とまばたき二つ。
特に反応もなく、じっと私を見つめる요우쨩。
「だから、ごめんね。そういう意味では、いっしょにいないほうが、いいかもね」
伝えるうちにどんどん涙が溜まっていって、じっと見つめてくる目の前の요우쨩の視線を気にする余裕もなく、ぽろぽろと涙が頬を伝った。ちゃんと、自信をつけてから伝えるつもりだったけど。でも、それでもきっと私は、その先を冷静に考えることもできずに、今日みたいにみっともなく泣いてしまうんだろうな。
ごめん。ごめんね。何度も何度も謝る。
好きになってごめんね。
*
驚きすぎて、何も言えなかった。
何が起きているのか、わからなかった。
終わりだと、思っていた。
리코쨩からのお誘いで始まったこの生活。楽しくて、きらきらしてて。ひた隠しにしていた리코쨩への想いが何度かチラついては蓋をして。一緒がずっと続けばいいのにな、って思うほどに気持ちはうんと大きくなって、正直つらいって思うこともあったけど。
それでも、ここでの二年間は間違いなく私にとっては宝物のようだったし、리코쨩も同じように大切に思ってくれてたら嬉しいなって思ってた。
離れていく指先を感じて咄嗟に指を絡める。
あれ以来、리코쨩のいない生活に慣れようとしたけど、だめだった。たった数日間、顔をも合わせず連絡もせず。
寂しくて、堪らなかった。
たから彼女から絡めてきた指先が離れようとするのを、そんなことさせないよと、強い意思を示した。
「りこ、ちゃん。わたしも。わたしもりこちゃんのこと、ずっと好きだったの」
ぴくりと反応する指先。はなさない、よ。
「…うそ、そんなわけない」
交じっていた視線を逸らされる。
私は彼女の蜂蜜色をした瞳がとても好きだった。その柔らかい色が、리코쨩の優しさとか穏やかさを反映しているようで、目が合うと不思議と心が落ち着く、そんな瞳が好きだった。
だから逸らされたのが寂しくて、俯いてしまった리코쨩の頬を撫でてこちらを向かせる。
ちゃんと伝わるように、真っ直ぐ彼女を見る。
「うそじゃない。うそはもう、やめた。りこちゃん、すきだよ」
ごはんいっしょにたべなくなって、さみしかった。
おかえりっていえないの、つらかった。
きょう、ただいまっていえたのうれしかったし、
ごはんもおいしくて、ふたりでたべられてたのしかった。
리코쨩はボロボロ泣きながら、そして私も溢れる涙を抑えられないまま。でも、伝えたいことをちゃんと伝えたくて、嗚咽で喉が震えてても、なんとか酸素を肺に取り込んで、ゆっくり、ゆっくり伝えた。
「ねぇりこちゃん。すきなんだ。すきだから、もっといっしょにいたいし、すきだから、もっとちかづきたい」
一言一言伝えるたびに、리코쨩の指先に力がこもっていく。これ以上彼女を泣かせたくはないのに、私自身も涙で目の前の彼女の輪郭すら朧げだから、説得力なんか皆無で、泣くことも、泣かせてしまっていることも諦めた。
鼻を啜り、深呼吸。喉が震えて少し苦しそう。
「わたしも。わたしも、ようちゃんにちかづきたい。ようちゃんにとってのとくべつになれたらいいな、っておもってたの」
空いた手で、ゆっくりと리코쨩を抱き寄せた。うん、うん、って頷くと彼女は私の肩に頭を預けてきて、その重さが心地よかった。
「なぁんだ、わたしたち、ずっとりょうおもいだったんだね」
驚きと嬉しさでまだ涙は止まらないけど、悲しい涙じゃなくなったから、いくらか余裕ができて리코쨩に言う。
리코쨩はというと、まだ言葉を発することはできないようだったけど、それでも、ふふっ、と笑いを零して嬉しそうに笑ってくれた。
ご飯冷めちゃうね、ってわざとらしく言うと、言葉が出ない代わりにぎゅっと리코쨩の両腕に抱きしめられて。もうちょっと?って聞くと、こくりと小さく頷かれてやっぱり愛おしい気持ちが溢れる。
今日のハンバーグは私とあなたの始まりの記念。
でも私の好きなものだけで記念にするのは勿体無いから、明日はあなたの好きなもので、色付けよう。
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