* * *
──あのあと, 自分で切った薬指を治療しようとしたのですが……。
다이아「…………」
気付けば傷口は塞がっていた。
もちろん, そんなに深く切ったつもりはないのですが……。
部屋に置いてある化粧台の鏡の前で, 首筋に貼ってある絆創膏を剥がすと──
다이아「……やはり, こちらも傷口が塞がっている」
ただ, 首筋の噛み傷は, 傷口が塞がっているだけで傷跡自体はまだ残っているのですが……。
とはいっても, 吸피のために深々と歯を突き立てたと言う割には, 治りが早すぎる。
……もしかしなくても, 特殊な事情で傷が治ってると考えた方がいい。
状況証拠から考えると……치카양の唾液のせいでしょうか。
치카양にとんでもない再生能力があるのは, もうすでに確認済み。
もしかしたら, 彼女から分泌された唾液にも, 似たような治癒効果があるのかもしれません。
この情報は有益かもしれない……。
わたくしが怪我をした場合, ちゃんと피を止めないと, 치카양は常に피の匂いに晒されることになってしまう。
ですが, この治癒効果を使えば, いざというとき今回のように, 指を軽く切って피を与える緊急処置のケアもしやすいと言うこと。
尤も──
치카「……ん……피……欲しい, よぉ……」
こんな状況でなければ, もっと考察する暇があるのですが……。
다이아「大丈夫ですか……? もう, いつでも피は与えられますわよ……?」
치카「ん…………」
時刻は日付を跨いで, 0時30分。
恐らく両親も就寝したと思われます。
치카「……もう, ちょっと……我慢……する……」
다이아「……今, どれくらい?」
치카「……90……」
다이아「…………」
限界ギリギリですわね……。もうこれ以上は치카양から, 絶対に目が離せない。
歯は日付が変わる頃には, すでに伸びきっていて, 今は完全に흡혈귀状態です。
先ほどから, トマトジュースを飲ませてあげたりはしているのですが……。
気が紛れる程度で, 吸피欲求そのものを減らす効果は全く認められない。
……まあ, あくまで水の代わりだったので, そこまでの効果は期待してはいませんでしたが。
치카「…………ぅ…………」
다이아「……치카양」
치카양は先ほどから, 横になり, 体を縮こまらせて, 吸피欲求に耐えている。
こうなってしまうと, もうわたくしに出来ることは, いつでも吸피出来るように構えている以外出来ることはありません。
치카「ぅ……ふー……ふー………………きゅうじゅう……ご……くらい……かも……」
小さな声で치카양が呟く。
다이아「……もう限界ですわ。치카양, 吸피の準備をしましょう」
치카「…………」
蹲ったまま, 치카양がいやいやと小さく首を振る。
……やはり, まだ吸피をすると言う行為そのものに抵抗があるのでしょう。
一番人間離れした行為ですものね……。
とは言っても……もう, 彼女のわがままを聞き続けている場合でもなくなってきている。
다이아「치카양……」
치카「……ぅ……다이아……さん……」
치카양を抱き起こすような形で, 起き上がらせる。
そのまま, 抱きしめるようにして, 彼女の頭部の後ろの手を添えたまま──
昨日も噛み付かれた左首筋のすぐ傍に彼女の顔を持ってくる。
다이아「……口, 開けて?」
치카「…………っ」
치카양は再度いやいやと首を振る。
다이아「すぐに吸わなくてもいいから……我慢出来なくなったら, すぐに吸피に移れる状態にだけでも」
치카「…………」
다이아「お願い……」
치카양にとって辛いお願いだとは思う。
彼女は今日は我慢すると言っていましたし……。
ですが, 無理なものは仕様がないのです。
それによってもっと事態が悪化してしまっては元も子もない。
다이아「치카양……」
치카「…………ん」
わかってくれたのか, 치카양は小さく首を縦に振ってくれた。
치카「……ぁー……」
小さく, 口を開けて昨日と同じ位置に,
치카「──むっ……」
치카양はすぐに歯を立てた。
다이아「……っ」
……まあ, 傾向から見て, 首筋の前で口を開いたら, もう我慢出来ないだろうと言うことはわかっていました。
치카양も, それがわかっていたから, 拒んでいたのでしょうし。
彼女のキバが首筋に突き刺さっていく。そして, そのまま吸피を始める。
치카「……ん……ちゅぅ……ちゅぅ……」
다이아「…………っ゛…………」
치카양が首筋から피を吸い上げる瞬間──背筋辺りから脳天に向かって, ゾクゾクっとした快感が全身に走り抜ける。
……ちょ, 待って, これ……っ
다이아「……ぁ……ゃ……待って, くださ……っ」
覚悟していたはずなのに──いや, むしろ今回は前情報で理解していたからこそでしょうか。
吸피行為により発生する快楽によって, 口から自然と嬌声が漏れ出てしまう。
そして, 同時に──心臓がドクンドクンと激しく脈打ち始める。
──チャームが始まった。
치카「……ちゅ……ちゅぅ……」
다이아「……は, ぁ……♡ ……치카さ……だ, め……き, もちぃ…………♡」
脳が痺れる。
치카양が噛み付いている部分に否が応でも神経が集中していく。
치카「…………ちゅー……ちゅぅー……」
다이아「……ゃ……♡ ……こ, れ好き……♡ ……きもち, ぃ…………だ, め……♡」
声が抑えられない。気持ちいい。
快感に自分が支配されている。
치카「……ん……ぷはっ」
치카양が吸피を終えて, 口を放す。
다이아「……ぁ, ゃ……や, やめないで…………♡」
치카「……は……はっ……ダ, 다이아さん……落ち着いて……」
다이아「もっと……♡ もっと, ください…………♡ それ, 好きなの……♡」
치카「다이아さん……もう終わったから……」
다이아「……そんなこと言わないでください…………もっと, 気持ち良ぃのが欲しいの…………♡」
離れようとする치카양に抱きついてすがる。
──もっとして, もっと, もっともっともっともっともっともっともっと……。
치카「ぅ……ダ, 다이아さん……」
치카양が困り顔をして, わたくしの名前を呼んだタイミングで──
다이아「…………/// ……すみません……/// 取り乱しましたわ……///」
치카「え, あ, うん」
理性が戻ってきて, 치카양から離れる。
치카「えっと, その……チカが言うのもなんだけど……大丈夫……?」
다이아「え, ええ……///」
まだ心臓がバクバクと音を立てているのは, 今恥ずかしいのか, チャームの余韻的のものなのかはわかりかねますが……。
正直, 今回は来るとわかっていたのもあって, 自分としては抵抗する気でいたのに……まるで, 抵抗出来ず今回も完全に虜にされてしまっていた。
我ながらはしたないし, 情けないと思うのですが……これは恐らく抵抗不可能ですわね……。
理性まで飛んでしまうピークは10秒ほどで終わってくれるのがせめてもの救いでしょうか……。
다이아「……とりあえず, 今の吸피欲求はどうなりましたか?」
치카「あ, えっと……0かな。……満腹状態みたいな感じ」
何はともあれ……目的はしっかりと達成されたようですわね……。
다이아「それは何よりですわ……」
ちゃんと欲求を満たせたのなら, わたくしも恥ずかしい想いをした甲斐があるというものです──そういうことにしておかないと, 本当に恥ずかしくて倒れてしまいそうなので。
치카「うん, ありがと……다이아さん」
彼女がお礼混じりに微笑むと。
다이아「……!///」
その可愛らしい笑顔にドキリとする。
……確実にチャームに引っ張られていますわね。
다이아「と, とにかく……!/// 首筋の傷……また絆創膏でも貼っておかないといけませんわね……!///」
チャームの余韻のせいで, 恥ずかしくて, 彼女の顔が見ていられないので, わたくしは背後の化粧台に視線を移す。
首筋の傷跡を鏡で確認して──
다이아「……피は出ていませんわね」
もうすでに피が止まっていることに気付く。
もちろん, 噛み傷は僅かにクレーターのように窪んでいるので, 傷口と言えば傷口のままなのですが……。
やはり, 治癒が早いのはほぼ間違いない気がします。
치카「……あ, 絆創膏貼ってあげるよ? 鏡越しだとやりづらいだろうし……」
背後から声を掛けられて──
다이아「それでは, お願いしようかしら──」
振り向いた途端──
치카양の顔が思った以上に近い位置にあった。
다이아「?! きゃぁっ?!///」
不意を打たれて驚いて, 声をあげてしまう。
치카「?! ご, ごめん……脅かせるつもりじゃ」
다이아「い, いえ……大丈夫, ですけれど…………?」
치카「……? どうかしたの……?」
다이아「……いえ, なんでもありませんわ。絆創膏, 貼ってくださいますか?」
치카「……あ, うん」
치카양がいそいそと, 部屋に置かれた救急箱を取りに行く。
다이아「…………。……気のせい, ですわよね……?」
ある懸念が頭を過ぎりましたが……。まあ, 恐らくこれは気のせい。
わたくしも相当気が動転していましたから, 見間違えたのでしょう……きっと, 気のせいですわ。
* * *
さて……夜明けまでまだ時間があります。
夜明けは大体5時ごろ……。今は2時過ぎなので, あと3時間くらいでしょうか。
치카「…………はぁ」
다이아「……日が昇るまで何かしましょうか」
치카「…………」
다이아「退屈ですものね」
치카「……다이아さんは寝ちゃっていいよ」
다이아「……いえ, わたくしも起きるのが遅かったから, 目が冴えていますの」
치카「…………そっか」
다이아「치카양……」
치카양は相変わらず横になって, 縮こまっている。
吸피の後, 徐々に我慢出来なかったことを再度自覚して, また気落ちしている様子でした。
다이아「…………」
せっかく明るくなってくれたのに……どうにかしてあげたいですわね。
치카양の好きそうなもの……何かないかしら。
다이아「……あ」
そして, 思い出す。
다이아「치카양」
치카「……ん」
다이아「ライブのDVDを見ませんか?」
치카「DVD……?」
다이아「ええ, μ'sの出ているライブDVDですわ」
치카「! 見る!」
よかった, 食いついてくれましたわ。
DVDの置いてある本棚の前で,
다이아「どのときのライブがいいですか?」
訊ねる。当たり前ですが我が家にはμ'sの出ているライブDVDは全て揃っています。どんなリクエストが来ても対応可能ですわ。
치카「んっと……スクールアイドルフェスティバルのときのがいい!」
다이아「ふふ, さすが치카양。それを選ぶとは……わかっていますわね」
──スクールアイドルフェスティバルは, 初夏に開催されるスクールアイドルの祭典です。
有り難いことに今年はAqoursやSaint Snowも出場が決まっているため予習にもなりますし, いいチョイスですわ。
本棚から, リクエストされたDVDを取り出して, それを自分のノートパソコンにDVDドライブに入れる。
치카「わくわく……!」
다이아「……ふふ」
程なくして映像が始まる。
ノートパソコンの小さな画面なので, 二人で肩を寄せ合うことになるので少々窮屈ですが,
映像が始まり, 曲が流れ出すと──
치카「……!!」
치카양は目をキラキラと輝かせて画面に齧り付いている。
わたくしが横にいることなんて, 頭のどこかに行ってしまってるんじゃないかと言うくらい, 夢中で映像の中のμ'sを追っている。
다이아「ふふ, 本当に好きなのね……」
まあ, それに関しては, わたくしも右に同じなのですが。
──二人でライブの映像を見て過ごす。
あんなに落ち込んでいた치카양が, 気付けば自然と身体を揺らして楽しそうに, 映像に食い入っている。
本当にμ'sの力は, スクールアイドルの力はすごいですわね……。
──二人で映像に夢中になっていると, 時間が過ぎるのはあっと言う間でした。
치카「……あれ, もう終わり……?」
다이아「ふふ, もう二時間以上経ってますわよ?」
치카「うそ……?! あっと言う間だったよぉ……」
다이아「それくらい, 楽しいエネルギーがいっぱいのライブだったと言うことですわね」
치카「…………。……うん, そうだね」
다이아「……?」
急に치카양の声がトーンダウンする。
今の今までライブの映像を見て, 嬉しそうにしていたのに。
다이아「치카양……? どうかしましたか……?」
치카「…………私, スクールアイドルフェスティバル, 出られるかな」
다이아「……!」
치카「……って, ごめん……。リーダーがこんなこと言ってちゃダメだよね」
다이아「치카양……」
彼女のリクエストだったとはいえ, またしても, わたくしの配慮が足りなかったことに気付かされる。
ライブは来月に迫っている。
これから初夏に向けてどんどん日差しも強くなる。
そうしたら……흡혈귀になってしまった치카양はどんどん太陽の下での活動が制限される。
……いつ練習に参加出来なくなってもおかしくはない。
そして, スクールアイドルフェスティバルは野外フェスです。
つまり, この事態が解決しないと最悪──
치카「大丈夫だよね。まだ一ヶ月もあるんだもん, ライブまでにはきっと解決してるよね」
다이아「……ええ」
치카「それでね, 私も, 皆にいーっぱい笑って貰える様なライブするからさ」
다이아「……そうですわね」
치카「だから, 練習も, いっぱいしないと, しない, と……っ」
다이아「…………」
わたくしは, 強がる치카양を, 抱き寄せる。
치카「다이아……さん……」
다이아「……強がらなくても, 大丈夫よ。……今はわたくししか居ないから」
치카「…………っ……! ……スクールアイドル, 出来なくなるの……やだよぉ……っ……」
다이아「……大丈夫ですわ」
치카「…………ぅ……っ……ぐす……っ…………元に……戻りたい……っ……」
다이아「……大丈夫, きっと元に戻る方法は見つかりますわ」
치카「…………ぅ……ぅぅ……っ……흡혈귀のままなんて……やだよぉ……っ……」
다이아「……大丈夫……。……わたくしも, 一緒に元に戻る方法を, 探しますから……」
치카「……ぅ……ぐす……っ……。……うん……っ……」
気休めにしかならないかもしれないけれど。
わたくしは치카양を抱きしめたまま, 何度も何度も『大丈夫だから』と答えながら, 彼女の背中を優しく撫でる。
嗚咽をあげながら, 치카양はわたくしの胸にすがるように, ぽろぽろと涙を流す。
치카「……다이아……さん……っ……」
다이아「大丈夫……わたくしが居るから, 大丈夫ですわ……」
わたくしは치카양が泣き止むまで, ただ抱きしめて励まし続けるのでした。
* * *
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